皆さまから寄せられたしょうゆに関するご質問の中から、特に多いものについてお答え致します。日本人にとってなじみの深いしょうゆにも、まだまだ知られていない情報がたくさんあります。しょうゆの深い魅力にふれてください。
しょうゆに関するその他のQ&A
「しょうゆ」はどうして「醤油」という字になったのですか?
大漢和辞典(諸橋徹次先生監修)によると、「醤油」の「醤」という字は、古くは「〓」と書かれていたとのこと。「〓」の字は、胸や腸という文字に使われている「月」に相当し、にくづき篇で肉を意味します。また、「爿」は「ショウ」という音を表したもの。さらに、下の「酉」は「酒」と同じで、ものを蓄えて醗酵させる甕の形からきています。「醤」の古い本字「〓」は「乾肉を切り麹と塩を加え、酒を注いで甕の中に密封してつくるので「月」(肉)と「酉」(酒)とをあわせてその意味を表したものと解説されています。また、「醤油」の「油」という文字は、とろりとした液体を意味し、「醤」の字に合わせて使われたと考えられます。古い中国には「油油」(悠々)と言う言葉があり、「おもむろに流れる様」という解説がされていますから、とろりとした液体と言う意味にもつながります。室町時代の文献の中には「醤油」という文字に「しょうゆう」という読み方がついて いるものがあるので、むかしは「しょうゆう」と発音していたのかも知れません。 [〓……將(しょう)の下に酉(とり)]
しょうゆは何故「むらさき」というの?
しょうゆを「むらさき」というようになったのには、諸説があります。
1
昔の人は赤褐色のことを紫と言い、小皿に垂らしたおしょうゆの色が赤褐色だったため、以来おしょうゆのことを「むらさき」と呼ぶようになったという説。
2
江戸時代は、江戸が政治の中心となったものの、文化の面ではまだまだ京や大坂に遅れをとっていた時代。江戸に独自の文化を隆盛させようとしていた支配階級の武士たちも、古来高貴の象徴とされてきた「紫」への思い入れが強かった。当時高価で貴重であったしょうゆを珍重していたのでむらさきと呼んだという説。
3
しょうゆの原料の一つである大豆に、丹波の黒豆(むらさき色の大豆)を使用すると、しょうゆがむらさき色になったことから、「むらさき」と呼ぶようになったという説
調味料の「さしすせそ」って何ですか?
「さ=砂糖」「し=塩」「す=酢」「せ=しょうゆ」「そ=味噌」のことで、和食における基本調味料。この順番に味付けをすると料理がおいしく仕上がると言われます。それにはきちんとした根拠があり、いちばん最初にあたる砂糖は浸透するのが遅いので早く入れて味をしみこませる必要があるとか。また先に入れることで、他の調味料の浸透もよくする効果もあります。さらに塩は材料の水分を外に出す作用があり、あまり早く入れると素材がかたくなってしまうそうです。しょうゆは早めに入れると、せっかくの香りが変わってしまうので、料理が仕上がる前に加えるのが良いとされています。
日本国内でしょうゆはどのくらい出荷されているのですか?
現在、日本全国のしょうゆメーカーが生産して出荷したしょうゆは約80万キロリットルになります。これは、家庭で使われる量のほかに外食として使われる分、加工食品の原料として使われたしょうゆも含まれています。この量は家庭で一般的に使用されている1リットルパックに置き換えると約8億本になります。日本の総人口を約1億2千万人とすると、国民1人当たり、年間で約6本のしょうゆを使用していることになります。
海外でもしょうゆが使われていますか?
1973年(昭和48年)、アメリカでしょうゆを製造したのが、日本企業の海外生産第一号。その間の地道な販売活動と万能調味料「しょうゆ」のよさが認められ、その後アメリカのほとんどのスーパーで扱われるようになりました。現在では、ヨーロッパの主要なスーパーにも並ぶようになり、しょうゆは世界の多くの国々の家庭やレストランで親しまれています。
しょうゆは凍りにくいのですが、何故ですか?
あるしょうゆメーカーで「こいくちしょうゆ」を2日間にわたって凍らせる実験をしました。その結果、マイナス20度では全く凍らず、マイナス40度くらいまではシャーベット状で、マイナス60度でようやく凍った状態になりました。 しょうゆには、アミノ酸、ブドウ糖、乳酸や食塩など多くの成分が含まれているので、水や食塩水よりも凍りにくいのです。
しょうゆ業界では環境問題をどのように考えていますか?
しょうゆ業界では、しょうゆ粕の再利用などにより、極力廃棄物を出さないようにとの考え方にたって、環境問題に取り組んでいます。もともと、しょうゆの製造は主に植物原料を長い期間かけて醗酵醸造するという、環境保全を大事にすることにかなった製造方式が行われています。企業の立地や企業規模により、取り組みの濃淡はありますが、環境保全についての自主行動計画の推進、容器包装のリサイクルなどについて、業界揚げて推進するように努めています。
しょうゆ粕の利用方法はあるのですか?
しょうゆをつくる後半の工程にもろみを絞る圧搾という作業があります。しぼった後にしょうゆの粕がでるわけです。この「しょうゆ粕」にもしょうゆ同様に窒素分などの栄養素が豊富に含まれているため、約8割が畜産の飼料として利用されています。また、工場の熱源に利用したり、古紙に混ぜて紙として再利用、バイオなどにより利用価値の高い飼料、肥料、土壌改良剤として利用するなどの取り組みをしています。