しょうゆができるまでの過程や効用、
歴史などの紹介になります。
醤油に秘められたさまざまな効用
和食はもちろん、今日ではあらゆる料理に使用されるしょうゆ。下拵えに、調理中に、そして仕上げに、しょうゆをちょっと使うだけで、料理がグンと美味しくなるのはなぜでしょう。そこには確かな科学的根拠があります。昔から伝わるさまざまな調理法が、すべて理に適ったものだということに驚きます。そして、しょうゆの科学を知れば、さらに効果的にしょうゆを使いこなすことができます。
消臭効果 … 生臭さを見事に消してしまう
しょうゆをつけて刺身を食べるのは、味だけでなくしょうゆに生臭みを消す大きな働きがあるからです。日本料理の下拵えにある「しょうゆ洗い」は、この効果を利用して、魚や肉の臭みを消しているのです。
加熱効果 … 食欲をそそる色と香りを出す
蒲焼きや焼き鳥などの食欲をそそる香りは、しょうゆ中のアミノ酸と、砂糖やみりんなどの糖分が、加熱によりアミノ・カルボニル反応をおこし、芳香物質ができるためです。アミノ・カルボニル反応は、美しい照りを出す働きもします。しょうゆの色と香りを生かした照り焼きなどは、まさにこの反応を利用したものです。
静菌 (殺菌) 効果 … 日持ちをよくする塩分と酸
しょうゆには、塩分と有機酸が含まれているため、大腸菌などの増殖を止めたり、死滅させる効果があります。しょうゆ漬けや佃煮などはこの効果を利用して日持ちを良くしています。
対比効果 … 甘味を一層引き立てる
例えば、甘い煮豆の仕上げに少量のしょうゆを加えると、甘味が一層ひきたちます。一方の味が強く、他方の味がごくわずかな場合、主体の味がより強く感じられる、このような効果を対比効果といいます。
抑制効果 … 塩味を抑え和らげる
漬かりすぎた漬物や塩鮭など、塩辛いものにしょうゆをたらすと、塩辛さが抑えられることがあります。これはしょうゆの中に含まれる有機酸類に、塩味を和らげる力があるためです。このように、混ぜたときに一方あるいは両方の味が弱められることを抑制効果といいます。
相乗効果 … だしと働きあってつくる深いうま味
しょうゆの中のグルタミン酸と、かつお節の中のイノシン酸が働き合うと、深いうま味がつくりだされます。このように、混ぜ合わせることにより、両方の味がともに非常に強められることを、味の相乗効果と呼びます。そばつゆや天つゆなどが、このよい例です。